あの日食べたバターライスの不味さを僕達はまだ知らない。(実写版)

We still don't know the distastefulness of the butter rice we ate that day. (live-action version)

BANANA FISHの大まかな感想

 吉田秋生BANANA FISHを読み終えた。大まかな感想を書いておく。
 とりあえず英二がまるっきりお姫様なのが気持ち悪かった。例えばアッシュがすねるのを見て喜ぶシーンとか。私の前でだけこんな表情を見せてくれるみたいな。
 だったら何で女じゃ駄目だったのか、と考えてみた。
 女性読者にとっては自分の分身たる英子(仮名)が殺人鬼であるアッシュと恋に落ちる。まずこの時点で問題アリかも知れない。そこはひとまずクリアしたとしても、英子は殺人を犯しつづけるアッシュをそのまま受け入れるのか。答えはNO。なぜなら容姿が良いだけで、あとは等身大の日本人女性である英子は、読者と同等程度に道徳的でなければならないからだ。少なくとも「もう人は殺さないって約束して」なんて女臭いつまらない台詞を言わなきゃならない。
 一方、英二は、女性読者にとって自分を投影する対象である以上に、男という不可解な存在である。愛情のようでありつつ、不可解な男同士の絆で結ばれているからこそ、女性読者は何も言わずにアッシュを受け入れる英二を受け入れられるのかもしれない。
 文庫版の解説は結構面白かったし、参考になるものが多かったと思う。ネタバレしまくりだったけど。