あの日食べたバターライスの不味さを僕達はまだ知らない。(実写版)

We still don't know the distastefulness of the butter rice we ate that day. (live-action version)

バルザック『ツールの司祭・赤い宿屋』(岩波文庫)

 『赤い宿屋』は『ゴリオ爺さん』でも話題になるタイユフェル(タイユフェール)の話。『ツールの司祭』はビロトーという司祭が同僚のトルーベールによって安穏とした生活を奪われるという話。自分はダメ人間に肩入れしちゃうタチなので、ビロトーに感情移入して、ビロトーの生活を脅かすトルーベールを悪人としか思えなかったけど、最後にバルザック自身がトルーベールについて語ってる部分があって、それを読んでバルザックに対するイメージが変わった。バルザックは借金に追われて仕事をさせられたかわいそうな人というイメージを持ってたけど、野心家であるトルーベールをほとんど英雄扱いしてるのを読んで、バルザック自身の書くことへの欲求によって書いてたのだと思うようになった。