「カネの価値を目減りさせること」というのが、インフレの大雑把で、ある程度正確な定義だと言っていいだろう。5%未満の低インフレでも100年とかの長いスパンで見ると絶大な効果をもたらすことになる。
例えば4%のインフレを100年続けると、今ある債務は約2%に目減りする。
(1.00/1.04)^100≒0.02
マスコミがこぞって喧伝している「国民一人当たり800万円の借金」とやらは16万円程度の価値に目減りする。
ちなみに今日本政府が日銀と政策協定を結んでいるインフレ目標である2%で計算すると約14%になる。
(1.00/1.02)^100≒0.14
800万円を換算(する必要もないのだけど)すると112万円。
それ以前に日銀保有分を無視して債務残高1000兆円とするのも問題なのだけど、ここではその話は省略する。
逆にたかが1%のデフレでもそれが100年続くとおそろしいことになる。
(1.00/0.99)^100≒2.73
800万円が2184万円分の重みになるし、1000兆円は2730兆円の重みになって、しかもデフレが維持されるのなら日銀の保有分も増えないだろうからそこを考慮しても過重になる。
将来世代にツケを回さないために今苦しくても我慢しようとデフレ不況を続ければ、結果的に将来世代に過重な負担をさせることになる。将来世代の負担を軽くするためには目先の債務に捉われずに、まずは金融緩和と財政拡張を続けてインフレを起こすことを重視するべきだろう。負担を先送りにする代わりにインフレを起こすことが将来世代の負担を軽くするための最適解である。