あの日食べたバターライスの不味さを僕達はまだ知らない。(実写版)

We still don't know the distastefulness of the butter rice we ate that day. (live-action version)

MASTERキートン(勝鹿北星・浦沢直樹)の「エルザ・ランチェスター」(ネタバレ)

 MASTERキートンの「エルザ・ランチェスターの思い出」と「エルザ・ランチェスターの復活」がちょっとややこしいので(なるべく)時系列順にまとめたい。

 まず、エルザ・ランチェスターは実在した女優。*1ノリッチ大学に伝わる「映画館で自殺してゾンビのように蘇った」というエルザ・ランチェスターの伝説は、(おそらく)ランチェスターが出演した映画が元になっている。ただし女優としてのランチェスターは忘れられた存在であり、ランチェスターという女優が自殺して蘇ったとされているわけではない。

 バリー・ピアーズメアリーと婚約する。メアリーを「とられる」のが嫌だったホエール教授は、エルザ・ボイドに依頼して、彼女にエルザ・ランチェスターを名乗らせてバリーに近付かせる。エルザ・ボイドは刑事のクライブ・リーと付き合っていたが別れたがっていた。その後バリー・ピアーズの姉キートンにエルザに関する調査を依頼してるはず。

 何者かが、かつて映画館だった廃屋でフランケンシュタインのマスクを被ってエルザ・ボイドを殺害、ホエール教授が遺体を隠蔽。マスクはホエール教授のもので殺害現場に放置されていた。
※犯人がなぜマスクを被って犯行を行ったのかは謎。マスクを放置した理由も。
※ホエール教授が遺体を隠したのはフランケンシュタインのマスクが殺害現場に放置されていたので自分が疑われると思ったからかも知れないし、自分の企みをメアリーに知られたくなかったからかも知れない。ネタバレ気味なので一部脚注に*2

 バリー・ピアーズとメアリーの婚約パーティ(多分)でホエール教授がいたずらを仕掛ける。ホエール教授に頼まれた新任のレイ・ゴードン(実際はクライブ・リー)がフランケンシュタインのマスクを被ってエルザ・ランチェスターのバリー宛のメッセージ(もちろんホエール教授が書いたもの)を読み上げる。

 パーティの翌日メアリーがメッセージの差出人の住所である廃屋になった映画館にバリーを連れて行く。そこでキートンと出会う。キートンは血痕を見付ける。
※こっちは完全にネタバレ→*3

 その後キートンはノリッチ大学に赴任(実際は調査のために潜入)する。キートンはゴードン(クライブ・リー)にエルザ・ランチェスターを名乗る学生に質問をされたと聞かされる。
※ここが前編に当たる「エルザ・ランチェスターの思い出」の締めでぞわっとする感じになってるけど、この件は事件とは無関係で何の意味もない。ホエール教授はゴードンが嘘をついたと推測。これどうなんだ?

 キートンはホエール教授の部屋で血痕の付いたフランケンシュタインのマスクを目にする。また、その後の調査でエルザ・ランチェスター(エルザ・ボイド)とレイ・ゴードン(クライブ・リー)の正体と、二人が付き合っていたことを突き止める。その頃ゴードンはメアリーを連れ出して・・・。次の日メアリーがいないと騒ぎになる。

 ホエール教授が例の廃屋に入って中に隠してあった凶器のナイフを取り出す。そこにフランケンシュタインのマスクを被ってメアリーを抱えた男が現れる。男の正体はリーで前日メアリーに協力を頼んでいたのだった。そこにキートンとピアーズが現れる。リーはホエールが、ホエールはピアーズが、ピアーズはピアーズの姉が犯人だと思っているが、キートンがピアーズの姉に依頼されてエルザを調査していることを明かす。
※リーはホエールを犯人だと疑って脅せば何か白状するだろうと思ったけどホエールがピアーズを犯人だと思い込んでるのを見てシロだと判断したっぽい?

 メアリーとピアーズはその場を立ち去る。去り際にキートンが、マスクを被るアイデアはメアリーとリーのどちらの発案かと尋ねメアリーが私だと答える。
※それがどうかしたか?

 メアリーはホエール教授が「エルザを連れて帰った」と言ったのをエルザが生きているのだと思い込み廃屋に戻る。「連れて帰った」という言い方をキートンがホエールにさせたのかどうかは分からないけど、エルザが生きていると勘違いしたメアリーが戻って来ることが分かってたかのようにホエールとリーが小芝居を打つ。ドアの向こうからエルザが来ると聞かされたメアリーは「私が悪かった」と事件の真犯人であることを白状する。キートンがメアリーに語りかける。「犯人がフランケンシュタインのマスクをかぶっていたのを知っていたのは、ホエール教授と被害者のエルザ……そして犯人だけです!(キリッ」
※だから何?真犯人が真犯人の真似をして真犯人じゃない人を脅したと?真犯人のメアリーが、真犯人じゃないと分かってるホエールを脅すために自分が犯行を行った時の状況を再現した、しかもそのことによって犯人しか知り得ないことを知っていたことをうっかり露呈させてしまった、って何これ?

 割と好きなエピソードだったんだけど何となく引っ掛かるというかややこしいので整理できないところがあって、整理してみたら支離滅裂で残念な作品だということが分かった。

*1:追記:「作中では実在したことになってる」という意味で書いたけどリアルで実在した女優だった。

*2:ホエール教授は誰の犯行かは知らなかったので犯人を庇ったわけではない。

*3:自分が犯行を行った現場になぜ婚約者を連れて行ったのか謎。