あの日食べたバターライスの不味さを僕達はまだ知らない。(実写版)

We still don't know the distastefulness of the butter rice we ate that day. (live-action version)

ジェイムズ・カー

 ジェイムズ・カーは(主に)60年代に活躍したサザンソウル、ディープソウルシンガーで、特に日本のソウルファンの間で人気が高いとされていて、オーティス・レディングとジェイムズ・カーのどちらが好きかという問いがなされるほどだったらしい。

 そもそもオーティスがそれほどの存在かと疑問に思わなくもないけど、オーティスよりもカーを選ぶ方がコアなソウルファンであるというニュアンスがその問いに込められているのかもしれなくて、仮にそうなら逆にオーティスとカーにそれほどの差があるかと問いたくなる。

 オーティス・レディングの曲のうちもっともヒットしたのはThe Dock of the Bayである。このことは客観的事実として変えようがないが、オーティスといえばDock of the Bayという構図に忸怩たる思いをしているオーティスファンも少なくないのではないだろうか。

 Dock of the Bayはオーティスが飛行機事故によって悲劇的な死を遂げた後にヒットし、オーティス最大のヒットとなった。オーティス自身の死という話題性によってヒットしたのかどうかはわからないが、この曲ではオーティスの従来のソウルシンガーとしての凄味が発揮されているようには思えない。曲としての出来もシンガーとしての魅力もDock of the Bayを上回るものを何曲も挙げられる。

 オーティス・レディングといえばDock of the Bayとされることに不満があるのと同様に、ジェイムズ・カーといえばThe Dark End of the Streetとされることにも大いに不満がある。しかもカーの場合はオーティスほどの知名度がないので、例えばラジオでDark End of the Street以外の曲がかかることはまずない。今朝の世界の快適音楽セレクションでかかっていて、ちょっと残念な気分になった。カーの曲をかけてくれること自体がありがたいことではあるのだけど。

 そこでジェイムズ・カーの曲で個人的に好きなものを4曲挙げたい。まずアップテンポな曲としてStronger Than Love。バラードはForgetting YouとLet's Face Facts(この曲のタイトルはI Gotta GoとかI've Gotta Goとされていることもある)が甲乙つけがたい。ブルージーな曲としてPouring Water on a Drowning Manを挙げておきたい。いずれもソウルとしての熱さはDark End of the Streetを上回っていると思う。

 ジェイムズ・カーの歌は上手くて安定感があるけど、その安定感がつまらなさにつながっている面もあるように思う。逆にオーティス・レディングは不安定感が良い方向に出ることがある(悪い方向に出ることもある)。カーの安定感が良い方向に出るのはバラードなどのスローテンポの曲かもしれない。

open.spotify.com

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