あの日食べたバターライスの不味さを僕達はまだ知らない。(実写版)

We still don't know the distastefulness of the butter rice we ate that day. (live-action version)

自民党・民主党大連立のすすめ

政権担当能力のある政党がもう一つ必要

 自分は民主党を支持したことは一度もないけど、今回の衆議院選挙の開票速報を見ながら、ちょっとした喪失感を感じた。民主党が分裂したことによって、また政権交代不可能な二大政党制に逆戻りするんじゃないかという感じを受けた。小選挙区制の特性を考えれば、さほど心配することもないのかもしれないけど。
 自民党一党独裁が続いた最大の要因は、第二党が政権担当能力を持っていなかった、または持とうとしなかったことに尽きる。そして長く続けば権力は必ず腐る。端的に言えば、政権担当能力のある政党が自民党のほかにもう一つ必要ということ。

2007年に大連立しておくべきだった

 そこで未だに悔やまれるのは、福田・小沢時代に大連立を組めなかったこと。軽くおさらいすると、安倍政権当時の2007年参院選で自民が敗北しねじれ現象が生じたため大連立を画策(この時点では福田内閣)するも民主党内の反発によって実現できなかったってところ。民主党としてはこのままの勢いで一気に政権奪取したいという思いも分かるけど、一度大連立を組んで政権担当能力を高めてから政権交代してれば違う結果になってたのではないかと思う。そもそも衆参両院で過半数の確保を目指すのは常道なんだし。
 自分は今からでもできれば大連立してほしいと思ってるけど、直前の選挙で勝った側にあまりにもメリットが少ない。

中西輝政『日本の「覚悟」』

 中西輝政の『日本の「覚悟」』は雑誌の論文や対談をまとめたもので、以下の引用はすべて「第九章 自民党民主党大連立のすすめ」より。本の発売は2005年、「第九章」の初出は「文芸春秋二〇〇四年二月号」ということなので、小泉・菅時代に書かれたもの。

一九五〇年台のフランスは、難題が山積しながら連立相手に気を使って思い切った改革ができないまま極限まで行った。衰退期に連立政権を続けると、その国家は確実に衰亡する。

政府は内外の危機のさなかでも「抵抗勢力」としての連立相手と妥協を重ね、足して二で割り、さらにそれを水で薄めたような無意味な「改革」を繰り返して、フランスの国力は急速に衰亡していった。

以上は自公連立と対比して書かれたもの。

日本の政治学者がなぜか指摘しないことだが、政権交代可能な二大政党制に移行する直前に、いずれの国でも大連立政権が誕生しているのである。

野党が真の「責任政党」に成長するための通過儀礼が、大連立に加わることなのだ。大連立のなかで「権力の試練」をへて成長した野党が、大連立を解消後初めて単独政権を樹立し、二大政党の一翼を担うことができるようになる、というのが先進民主主義国の政治が辿ってきた道なのである。


小沢一郎の功績

 選挙も終わったことだし小沢一郎を褒めようと思う。小沢は国連幻想を抱いててシナに媚びまくってるくらいの印象しかない。経済政策にも明るいというイメージがない。一言で言えばただの選挙屋、政局屋。実際はどうなのか自分には分からないけど、少なくとも「政権交代可能な二大政党制」を目指したという点では、正しい部分もあるように見える。小選挙区制導入を推し進めたのも小沢だし。

政権担当能力とは何ぞや

 『日本の「覚悟」』からもう一箇所引用。

大連立を経ることで、現在の民主党のなかに存在する「抵抗政党」的メンタリティも最終的に洗い流されることであろう。

 中西の言う「抵抗政党的メンタリティ」が端的に表れるのは、外交や安全保障に関わる分野だと思う。国益よりも党利党略を優先して政府与党の足を引っ張るような政党は政権担当能力がある政党とは言えない。民主党はまだ責任政党に脱皮する途中に見える。今後は「責任ある野党」としての姿勢を期待せずに見て行きたい。